ベネズエラのマドゥロ大統領は1月10日、3期目の就任式を強行しました。大統領選で不正があったとの疑念を拭えないまま、続投の既成事実化を進めるもので、民意を無視した居座りと断ぜざるを得ないでしょう。昨年7月の大統領選で、政権の影響下にある選管当局は詳細な開票結果を示さずにマドゥロ氏の勝利を発表し、国内外で強く批判されています。3選を決めたと言い張るなら、裏付ける正しい証拠を先ず公表すべきでしょう。昨年の選挙では投票者の80%が野党候補に投票し、国外には投票権を与えられないベネズエラ人が8百万人に上るといわれます。
この選挙で独自集計に基づき勝利を主張している野党候補ゴンサレス氏は、政権の圧力でスペインに亡命を余儀なくされ、今回の就任式の直前に中南米の周辺国や米国を歴訪し、支援を訴えました。
マドゥロ政権はゴンサレス氏に逮捕状を出し、9日には政権への抗議活動に加わった野党指導者マチャド氏を一時拘束しました。昨年の選挙後の抗議デモでは多数の市民が逮捕され、死傷者も出ています。
米欧はゴンサレス氏への支持を強調し、日本を含むG7の外相はマドゥロ氏の不当な居座りに抗議の声明を出しました。しかしマドゥロ氏はロシアや中国の支援を後ろ盾に、権力にしがみつこうとしています。
ベネズエラ軍には現在将軍が2千人以上存在すると言われます。これは北大西洋条約機構(NATO)30か国の将軍総数を上回り、彼らは高額の給与で賄われています。
マドゥロ氏の独裁的な統治が招いた窮状は、このままでは解決が遠のくばかりでしょう。国際社会は、公正な選挙でベネズエラ国民の意思が尊重されるよう粘り強く働きかける必要があります。日本を含む民主主義国は、選挙の形骸化や強権体制の専横を座視すべきではないと思います。
コメント