翁草

翁草

アラルコンの『疑わしき真実』を読んで

フアン・ルイス・デ・アラルコン(1580? – 1639)はスペイン黄金時代の重要な劇作家です。彼の作品の特徴はユーモアのある会話と人間の弱みを風刺する点にあるといえるでしょう。  同作家はヌエバ・エ...
翁草

ロペ・デ・ベガの『国王こそ無二の判官』

ロペの戯曲『世の片隅にある農夫』については既にお話しましたが、今回は『国王こそ無二の判官』という同作家の別の戯曲をご紹介します。ロペの生涯はまるで小説のような冒険と、烈しい情熱と、中産階級的な徳行の混...
翁草

ティルソの『セビリアの色事師と石の招客』

希代の女たらしとして知られる伝説的人物「ドン・フアン」はそもそもティルソ・デ・モリーナ(1579 ?-1648) のこの作品によって定着したと言われます。その後モリエールの劇、バイロンの詩、モーツアル...
翁草

ティルソの『不信心ゆえ地獄堕ち』を読んで

ティルソ・デ・モリーナ (1579 ?-1648)はカルデロン・デ・ラ・バルカおよびロペ・デ・ベガとともに、スペイン黄金世紀の演劇の<三巨匠>と呼ばれています。ティルソは伝説上の人物『ドン・フアン』を...
翁草

リカルド・ベーリョ氏の寄稿文

先に掲載しました「カルデロンの戯曲 『人生は夢』を読んで」 について、ベネズエラ出身の小説家兼文学評論家のリカルド・ベーリョ氏より興味深いコメントが届きましたので、同氏の了解を得た上で皆さんと共有させ...
翁草

ロペ・デ・ベガの『世の片隅にある農夫』

ほぼ15年ぶりにこのロペの戯曲(1617年)を読み返しました。  舞台はフランス。主人公は「農夫フアン」。農夫とはいえ、フアンは裕福な農園主で、首都パリ(王宮の所在地)からやや離れた静かな土地で、なに...
翁草

フェルナンド・バルボサ氏の寄稿文

先に掲載しました「カルデロンの戯曲 『人生は夢』を読んで」 について、コロンビアの日本研究者フェルナンド・バルボサ氏よりコメントが届きました。同氏の了解を得た上で皆さんと共有させて頂きます。  カルデ...
翁草

カルデロンの戯曲『人生は夢』を読んで

最近、スペインの劇作家カルデロン・デ・ラ・バルカ(1600-1681)の戯曲『人生は夢』を再読しました。スペインの黄金世紀のみならず現代にいたる全ヨーロッパ演劇中の傑作とされ、バロック演劇の典型ともい...
翁草

リカルド・ベーリョ氏の寄稿文

親愛なる伊藤さん、スペイン文学に関するあなたの最新の記事を読んでとてもうれしく思いました。興味深く拝読し、またあなたの訳された井原西鶴の『世間胸算用』をベネズエラで読んだのを思い出しました。当時の日本...
翁草

ケベードの 『ぺてん師 ドン・パブロスの生涯』 を読んで

フランシスコ・デ・ケベード(1580-1645)は、スペイン文化の黄金時代を代表する作家、詩人で、この作品はいわゆる “ピカレスク小説” に属します。ピカレスク小説は日本では一般に “悪者(ないし悪漢...